2023年11月03日

2023年 第43週
(令和5年10月23日~令和5年10月29日)

【今週の注目疾患】
■感染性胃腸炎
 2023 年第 43 週に県内の小児科定点医療機関から報告された感染性胃腸炎の定点当たり報告数は、前週(2023 年第 42 週)の 3.09(人)から増加し、3.40(人)となった。
2023 年第 18 週以降、定点当たり報告数は過去 5 年間で最も多く推移している。

 例年、県内でノロウイルスによる集団発生事例が確認されている 1)。
ノロウイルスによる感染性胃腸炎や食中毒は、一年を通して発生しているが、特に冬季に流行するため 2)、今後の発生動向に注意が必要である。
乳幼児や高齢者等では、嘔吐、下痢によって脱水症状になることや、体力を消耗することがある。
特に高齢者では嘔吐物による誤嚥性肺炎を起こすこともあり注意を要する。
また、近年、サポウイルスやアデノウイルスによる集団発生事例も確認されている。

 現在ノロウイルス・サポウイルス・アデノウイルスによる感染性胃腸炎に使用可能なワクチンはない。
また、消毒用エタノールのみでは十分な効果を期待できないことから、感染を予防するためには、食品類の十分な加熱、石けんと流水による手洗いの励行、嘔吐物・糞便等の迅速かつ適切な処理(使い捨てのガウン(エプロン)、マスクと手袋を着用する、飛散しないようペーパータオル等で静かにふき取る)及び次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度約 200ppm)等による汚染区域の消毒が重要となる。
手指に付着しているウイルスを減らす最も有効な方法は、石けんと流水による手洗いである。
調理や食事の提供を行う前、食事の前、トイレの後は必ず手洗いを行う。
また、手袋をしている場合であっても、嘔吐物・糞便等の処理やオムツ交換を行った後は必ず手洗いを行うことが重要である 2)。

■引用・参考
1)千葉県健康福祉部疾病対策課:【ノロウイルス】感染症予防のための情報提供について(令和 5 年 10 月 30 日発表)
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2)厚生労働省:ノロウイルスに関する Q&A
>>詳細はこちら

■インフルエンザ
 2023 年第 43 週の県全体のインフルエンザの定点当たり報告数は 29.25(人)であった。
県内16 保健所中 9 保健所管内(松戸、船橋市、習志野、印旛、香取、海匝、山武、長生、君津)で警報レベル(開始基準値:定点当たり 30.0 人)を超えた。

 昨シーズン(2022/23 シーズン)にインフルエンザ病原体定点医療機関から千葉県衛生研究所に搬入されたインフルエンザの患者検体のうち、141 検体からインフルエンザウイルスが検出された。
型・亜型別では、A/H3 亜型が 124 検体(88%)と最も多く、次いで A/H1pdm09 亜型が13 検体(9%)、B 型ビクトリア系統が 4 検体(3%)と続いた。
シーズン後半から A/H1pdm09亜型の占める割合が増加しており、これは全国における検出傾向と合致する 。

 県内では例年より早期に患者報告数の増加が見られている。インフルエンザ予防のため、こまめな手洗い、十分な休養とバランスのとれた栄養摂取、室内でのこまめな換気、適度な湿度の保持、予防接種などを心がけていただきたい。
■参考・引用
1)国立感染症研究所:インフルエンザウイルス分離・検出速報
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2)千葉県健康福祉部疾病対策課:インフルエンザから身を守ろう
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【新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況】
 2023 年第 43 週の県全体の定点当たり報告数は、前週の 3.11 人から減少し、2.35人であった。
地域別では、市原(4.18)、柏市(3.36)、夷隅(3.20)保健所管内で患者報告数が多かった。

【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和5(2023)年11月1日更新)