2022年12月30日

2022年 第 51 週(2022/12/19~2022/12/25)

【今週の注目疾患】
■インフルエンザ
 2022 年第 51 週の県全体のインフルエンザ定点当たり報告数は 1.15(人)であり、流行開始の指標となる 1.0(人)をこえた。
1.0(人)をこえるのは 2020 年第 10 週(定点当たり報告数 2.45(人))以来であり、2 シーズンぶりとなる。
保健所管内別では松戸 2.83(人)、市原 2.36(人)、市川 1.50(人)が多かった。

 2022 年第 51 週に報告のあった 236 例のうち、A 型 188 例(80%)、B 型 4 例(2%)、型非鑑別キットで陽性 34 例(14%)、検査未実施(検査実施未確認例含む)10 例(4%)であり、A 型が多かった。
年齢群別では、20 代が 59 例(25%)で最も多く、次いで 5~9 歳が 57 例(24%)、0~4 歳が 27 例(11%)であった。
 近隣都県では 2022 年第 50 週(前週)時点でインフルエンザ定点当たり報告数が東京都 1.12(人)、神奈川県 1.05(人)となっており、流行開始の指標である 1.0(人)を既に上回っている。

 今シーズンは新型コロナウイルス感染症との同時流行が懸念されている。
また、過去 2 年間、大きな流行がなかったために、社会全体のインフルエンザに対する集団免疫が低下しているという考えもあり、大きな流行になることが懸念される 1)。
インフルエンザの予防には、ワクチン接種が有効である。
しかし、インフルエンザワクチンは重症化予防や発症をある程度抑える効果が期待できるが、発病を必ず防ぐわけではないことから、基本的な感染対策の徹底も重要となる 2)。
・基本的な感染対策
1 外出後の手洗い
2 適度な湿度の保持
3 十分な休養とバランスのとれた栄養摂取
4 人混みや繁華街への外出を控える
5 室内ではこまめに換気する

■参考
1)一般社団法人日本感染症学会:2022-2023 年シーズンのインフルエンザ対策について
>>詳細はこちら
2)厚生労働省:令和4年度インフルエンザ Q&A
>>詳細はこちら

■感染性胃腸炎
 2022 年第 51 週に県内定点医療機関から報告された感染性胃腸炎の定点当たり報告数は、前週(2022 年第 50 週)の 6.33(人)から増加し、7.68(人)となった。
保健所管内別では、海匝 12.00(人)、印旛 11.31(人)、船橋市 10.50(人)からの報告が多かった。
 今シーズンはサポウイルスによる感染性胃腸炎集団発生事例など県内で複数の感染性胃腸炎集団発生事例が報告されている。
感染性胃腸炎は多種多様な病原体の関与が想定され、一定の疫学パターンをとらないことが予想されるが、例年ウイルス性(特にノロウイルス)による流行が 12月にピークを形成し 3)、その後春頃まで報告数が多い状況が続くことから、年末年始も感染対策を徹底されたい。

 現在ノロウイルス・サポウイルスによる感染性胃腸炎に使用可能なワクチンはなく、感染を予防するためには、食品類の十分な加熱、石けんと流水による手洗いの励行、嘔吐物・糞便等の迅速かつ適切な処理(飛散しないようペーパータオル等で静かにふき取る、市販の凝固剤等を使用する等)および次亜塩素酸ナトリウム等による汚染区域の消毒が重要となる。
手指に付着しているウイルスを減らす最も有効な方法は石けんと流水による手洗いである。
調理や食事の提供を行う前、食事の前、トイレの後、嘔吐物・糞便等の処理やオムツ交換を行った後は必ず手洗いを行うことが重要である4)。
現在、新型コロナウイルス感染症の感染予防策として、消毒用エタノールによる手指消毒が推奨されているが、ノロウイルスは消毒用エタノールのみでは効果が期待できないことから、石けんと流水を用いた手洗いの代用にはならないことに注意する必要がある。

■参考
3)国立感染症研究所:感染性胃腸炎とは
>>詳細はこちら
4) 厚生労働省:ノロウイルスに関するQ&A
>>詳細はこちら

【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和4(2022)年12月30日更新)