2023年06月09日

2023年 第22週
(令和5年5月29日~令和5年6月4日)

【今週の注目疾患】
■RSウイルス感染症
 2023年第22週に県内小児科定点医療機関から報告されたRSウイルス感染症の定点当たり報告数は1.60人(報告数合計20例)となり、第16週から6週連続で増加した。
今週報告された206例のうち、年齢群別では1歳が70例(34%)で最も多く、次いで6か月~11か月が36例(18%)、2歳が30例(15%)と続いた。
保健所管内別では、野田保健所管内が定点当たり報告数4.75人で最も多く、次いで船橋市が3.09人、松戸が2.53人、柏市が2.44人と続いており、主に東葛地域から多く報告された。

 前週時点において、周辺都県(東京都、埼玉県、神奈川県、茨城県)や他地域においても定点当たり報告数が増加しており、全国的に患者報告数の増加が認められている1)。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行後、RSウイルス感染症は時期外れの流行の発生や患者年齢群の変化等、挙動が従来と異なっている2)ため、今後の発生動向には十分気を配る必要がある。
 RS ウイルス感染症は、RS ウイルス(respiratory syncytial virus:RSV)を病原体とする乳幼児に多く認められる急性呼吸器感染症である。
多くの場合症状は軽症だが、早産児や早産で生後6カ月以内の乳児、月齢24カ月以内で免疫不全を伴う、または血流異常を伴う先天性心疾患や肺の基礎疾患を有する、あるいはダウン症候群の児は重症化しやすい傾向があるため、重症化抑制剤のパリビズマブの保険適応が認められている3)。
パリビズマブは地域における発生動向に合わせて投与開始時期等を決めることが推奨されており、日本小児科学会千葉地方会ホームページにおいて県内のRSウイルス感染症の流行状況を鑑みた投与時期の提案を定期的に行っている4)。
 感染経路は、患者の咳やくしゃみなどによる飛沫感染と、ウイルスの付着した手指や物品等を介した接触感染が主であり、特に、家庭内では、飛沫感染、接触感染を介して、RS ウイルスが伝播しやすいことも報告されているため、適切な飛沫感染(マスク着用や咳エチケット)や接触感染に対する基本的な感染予防策(手洗いや手指衛生)を講じることが重要である3)。

■引用:参考
1)国立感染症研究所:IDWR速報データ 2023年第21週
2)一般社団法人日本感染症学会:新型コロナウイルス感染症パンデミック下における感染症の現況
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3)国立感染症研究所:直近の新型コロナウイルス感染症および RS ウイルス感染症の状況(2021年4月9日現在)
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4)日本小児科学会千葉地方会:千葉県におけるパリビズマブ投与について
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【新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況】
 2023年第22週の県全体の定点当たり報告数は、前週の5.25人から増加し6.66人であった。
第19週以降、3週連続で増加しており、県内広範囲において患者報告がみられている。

【その他TOPICS】
 2023年6月1日(木)~7日(水)はHIV検査普及週間である。
近年、梅毒をはじめとする性感染症の患者数が増加傾向にある1)。
性感染症は自覚症状に乏しく気づきにくい場合が多いため、早期検査や受診が重要である。
県では保健所での検査や休日街頭検査、委託機関による無料・匿名のHIV等の検査を実施している。
感染が気になる方や不安なことがある場合には、活用されたい。
なお、最新の検査実施状況については、県ホームページ等でご確認いただきたい2)。

■引用・参考
1)AIDS 予防情報ネット:HIV 検査普及週間(6 月 1 日~7 日)
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2)千葉県:千葉県内のエイズ等相談・検査
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【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和5(2023)年6月7日更新)