今週の注目疾患   2021年 38週(2021/9/20~2021/9/26)
【今週の注目疾患】

≪日本紅斑熱≫

 2021 年第 38 週に安房保健所管内より日本紅斑熱が 1 例報告された。
患者は農業に従事する 70代男性であり、発熱、倦怠感などの症状および刺し口が確認された。
 2021 年の県内累積報告数は 13 例となり、過去 5 年間の同時期において最も多い報告数となっている。
性別では女性 7 例(54%)、男性 6 例(46%)であった。
年代別では 13 例全てが 60 代以上で、70 代が 5 例(38%)、60 代と 80 代がそれぞれ 4 例(31%)であった。
推定感染地域は、南房総市 4 例(31%)、鴨川市 3 例(23%)と安房保健所管内からの届出が多い。

 日本紅斑熱は紅斑熱群リケッチアの一種 Rickettsia japonica を起因病原体とし、病原体を持つマダニに刺咬されることにより感染する。
マダニの生息場所は山林、裏庭、あぜ道、畑等の草の上で、通常は野生動物に寄生して吸血するが、ヒトへの嗜好性が強く、生息場所にヒトが侵入す
ることによりヒトが吸血される1)。

 マダニは千葉県内の広い地域で生息しており、特に野生動物が多く生息する房総半島南部の山間地域で多くのマダニが採集されている。
千葉県南部地域では、日本紅斑熱患者が毎年確認されており、関東地方ではまれな流行地となっている2)。
県では 5 月の下旬頃(21 週前後)から 11月の中旬(45 週前後)まで発生がみられることから、春から秋の間、感染に注意が必要である。

 臨床症状は頭痛、発熱、倦怠感を伴って発症する。潜伏期間は 2~8 日で、発熱、発疹、刺し口が主要三徴候である。
発疹は体幹部より四肢末端部に比較的強く出現する1)。本県では 2020 年に死亡例が 1 例報告されている。

 治療の第一選択薬はテトラサイクリン系抗菌薬である。
治療には本症を早期に疑い、適切な抗菌薬を投与することが極めて重要である1)。
疑わしい患者については潜伏期間を考慮した聞き取り調査が参考となる。

 本症の予防方法は、マダニに刺咬されないことである。
農作業や山林作業、栗拾いやレジャーなどで山林や草むらなどマダニの生息場所に立ち入る場合には、1-半ズボンやサンダル履きなどの軽装は避け、長袖長ズボンなど肌の露出が少ない服装にする、2-忌避剤(防虫スプレー)を使用する、3-地面に直接座らずに敷物を使用する、4-帰宅をしたらすぐに着替え、洗濯する、5-帰宅後はすぐに入浴し、体にダニが付いていないか確認する、などの対策をとることが重要となる。
 また、刺咬された場合には、無理に引き抜くとマダニの一部が皮膚に残ってしまうことがあるので、医療機関を受診して除去してもらうことが推奨される2)。

■参考
1)国立感染症研究所:日本紅斑熱とは
>>詳細はこちら
2)千葉県衛生研究所:マダニ被害に遭わないために!
>>詳細はこちら

【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和3(2021)年9月29日更新)