今週の注目疾患   2021年 26週(2021/6/28~2021/7/4)
【今週の注目疾患】

【腸管出血性大腸菌感染症】
 2021年26週に県内医療機関から腸管出血性大腸菌感染症が10例報告され、2021年の累計は49例となった。
先週に続き10例以上の報告であり、過去5年間の同時期において2018年に次いで2番目に多い状況である。
10例の届出の内訳は、性別では男性が4例、女性が6例であり、年代別では40代が3例(30%)で最も多く見られ、次いで10歳未満と70代が2例ずつ報告された。
O抗原・毒素型別ではO157・VT2が3例(30%)で最も多く、次いでO157・VT1VT2およびO抗原不明VT1VT2がそれぞれ2例ずつ報告された。
保健所管内別では印旛・千葉市保健所管内が3例ずつ、市川・君津・海匝・山武保健所管内から1例ずつ報告があった。
10例のうち同居家族との接触感染が推定された症例が5例(50%)みられた。
 2021年7月23日から9月5日までの期間、東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されることになっており、本県においても、幾つかの競技の開催や事前合宿等が行われる予定である。
平常時に比べ、海外からの入国者や県内の人流の増加が予想され、感染症等の集団発生に至るリスクが高まる可能性が懸念される。
国立感染症研究所が実施したリスク評価1)によると、腸管出血性大腸菌感染症は特に注意すべき疾患の一つに挙げられており、例年国内で6月~9月に報告数が増加することから、食品を介した大会関係者での感染拡大に注意することが必要とされている。
現時点において、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の関係者と思われる当該疾患の報告は確認されていないが、大会期間中は厚生労働省事務連絡2)に基づき、サーベイランス体制を強化し、疾患の発生を適切に探知し対応へつなげていくことが必要である。

■引用・参考
1)東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に向けての感染症リスク評価(更新版)(国立感染症研究所):
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2)東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に伴う感染症サーベイランスの取組強化について(厚生労働省):
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【RSウイルス感染症】
 2021年26週に県内の定点医療機関から報告されたRSウイルス感染症の定点当たりの報告数(人)は前週の3.22からさらに増加し、4.23となった。
7週連続で報告数が増加しており、過去5年間で最も多い報告数となっている。
保健所管内別では特に海匝(14.0)、習志野(10.1)、柏市(8.0)保健所管内からの報告が多くなっており、その他県内保健所管内でも軒並み報告数が増加しており、全県的な流行が見られている。
RSウイルス感染症は多くの場合、軽い風邪様症状を発するのみであるが、1歳未満の新生児、乳幼児や心臓・肺等の基礎疾患保有者や免疫不全がある場合、重症化することがある。
昨年はほとんど発生が見られておらず、RSウイルスへ通常のレベルで曝露されていなかった可能性が考えられるため、十分注意が必要である。
地域によっては保育園等で集団感染事例が発生している旨の報告もあり、感染防止のため、飛沫感染対策としてのマスク着用や咳エチケット、接触感染対策としての手洗いや手指衛生といった基本的な感染予防策を着実に講じることが重要である。


【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和3(2021)年7月7日更新)