今週の注目疾患   2020年 34週(2020/8/17~2020/8/23)
【今週の注目疾患】

【腸管出血性大腸菌感染症】
 2020年第34週に、県内医療機関から4例の腸管出血性大腸菌感染症の届出があり、2020年の累計は57例となった。
57例の内訳は、患者36例(63%)、無症状病原体保有者21例(37%)であった。
O血清群別では、O157が29例(51%)と最も多く、O26が8例(14%)、O103が4例(7%)、O111が3例(5%)、O115が1例(2%)、O145が1例(2%)、O血清群不明が11例(19%)であった。
 夏季は腸管出血性大腸菌感染症の発生が多く、千葉県は6月1日から9月30日を期間として食中毒注意報を発令し、その後さらに食中毒が発生しやすい気象条件となったため、8月7日には食中毒警報を発令した。
腸管出血性大腸菌のほかカンピロバクターや黄色ブドウ球菌といった細菌による食中毒発生のリスク低減のためには、細菌を「つけない(手指衛生、調理器具の使い分け)、増やさない(冷蔵・冷凍)、やっつける(十分な加熱、調理器具の消毒)」ことが重要である。
 腸管出血性大腸菌感染症の症状は多様であり、無症状の場合もあれば、時に溶血性尿毒症症候群(Hemolytic Uremic Syndrome, HUS)を続発して致命的となるなど様々な病態をとりうる。
典型例では3~5日の潜伏期をおいて、激しい腹痛をともなう頻回の水様便の後に血便がでる。
また37~38℃台の熱や嘔吐を伴うこともある。
HUS、または脳症などの重症な合併症を発生することがあり、HUS を発症した患者の致命率は1~5%とされている。
2020年に届出のあった患者36例の主な症状(重複あり)は、水溶性下痢33例(92%)、血便16例(44%)、発熱9例(25%)、嘔吐8例(22%)であった。
 本感染症はわずか50個程度の菌数で感染が成立し、原因となる腸管出血性大腸菌に汚染された食品の喫食や、感染者の糞便汚染物との接触による糞口感染によって感染し、家庭内感染や二次感染が多いことも特徴である。
また汚染された食品が広域的に流通することにより、一見散発的に見えるアウトブレイクが発生しうることにも注意しなければならない。
手洗いの励行といった基本的な衛生対策、食品の調理時における野菜類の十分な洗浄、肉類の十分な加熱や既知の感染リスクである生肉の喫食を避ける、調理器具類の洗浄、殺菌など交差汚染に対する注意が腸管出血性大腸菌感染症の感染予防に重要である。


【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和2(2020)年8月26日更新)